当然、真に国(政府)がスパコンの開発を必要なものだと考えているのであれば、「責任を持ってスパコン開発に予算を付けるべき」だと思っている。
但し、先日の野依さんのスパコンに関しての発言には正直に言って「少々いただけないなぁ~」という気がしてならない。(場所=自民党の会合での発言という意味で)
そんな中、11月27日に長崎大工学部の浜田剛助教のグループが国内最速のスーパーコンピューターを開発し、米電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞をしたとの報が流れてきた。
西日本新聞では27日に掲載をされ、翌28日には、読売新聞・毎日新聞が伝えている。
これが同じ47news加盟でも地方紙であったら果たして伝えたであろうか。ブロック紙である西日本新聞ゆえに47news加盟各紙が伝えない記事でも伝えたのではないかと思ってしまう。
便所紙産経は別として野依氏の発言を大々的に伝えた地方新聞社は、この記事を載せたくは無いようにさえ思えてしまった。
スパコン開発で「ゴードン・ベル賞」
長崎大助教ら受賞 「国内最速」安価で実現
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/136999
長崎大工学部の浜田剛助教(35)のグループは26日、国内最速のスーパーコンピューターを開発し、米電気電子学会の「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞した、と発表した。同賞はスーパーコンピューター分野のノーベル賞といわれ、市販の画像処理装置(GPU)を使って安価に高速計算を実現したのが受賞理由。同部門の受賞は8年ぶりという。
政府の新年度予算概算要求の事業仕分けでは、次世代スーパーコンピューター開発予算(267億円)が大幅削減とされたばかり。浜田助教は「高性能の計算機は重要だ」としながらも、巨費を投じた従来の開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」と述べ、低価格化が可能との見方を示した。
浜田助教らのスーパーコンピューターはGPUを760個並列につなげたもの。1秒間に158兆回の計算ができ、国内最速の「地球シミュレータ2」の同122兆回を上回ったという。
GPUを大量につなげられるプログラムの開発が成功のカギとなり、数百億円規模が必要とされる開発費用を3800万円に抑えたという。天体物理学などの複雑な計算での活用が見込まれる。
=2009/11/27付 西日本新聞朝刊=
ここでひとつ注意をしなければならないのは、世界最速のものを作ったということではないという事である。
まずは、この点は注意をしなければならないということであるが、同時に浜田教授の「巨費を投じた従来の開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」という言葉は、開発現場からの生の声のひとつでもあろうかと思う。
長崎大学からの研究の概要と受賞模様に関してのPDFが配布されている。
http://www.nagasaki-u.ac.jp/main/gakujutsu/2009/gaku20091126.pdf
まぁ~、中にはすぐに次世代スーパーコンピューター開発予算(267億円)なんかいらない。止めちゃえ。「3800万円でできるんだから」と安直な発言も見受けられるのだが、それはちょいと横においておきましょう。
今年の8月にイザ!にスパコンに関し、下記のような記事が載っている。
円周率計算2兆5769億8037万桁! 筑波大が世界記録樹立、ギネス申請
2009/08/17 17:35
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/290843/
筑波大(茨城県つくば市)は17日、同大計算科学研究センターのスーパーコンピューターが、円周率の計算で2兆5769億8037万桁(けた)の世界記録を樹立し、ギネスブックへ登録を申請したと発表した。これまでの世界記録は、東京大情報基盤センターなどが平成14年に達成した1兆2411億桁で、2倍以上の記録更新となった。
今回の計算は、スーパーコンピューターの性能や信頼などの評価のため実施。昨年6月から運用を開始した「T2K筑波システム」という総演算性能95テラフロップス(毎秒95兆回演算)の超並列クラスタ型スーパーコンピューターを使用した。
(中略)
東大が記録した1兆2411億桁の計算にはスーパーコンピューターを用いて約600時間(検証時間含む)かかったが、筑波大の計算は73時間36分(同)と大幅に短縮された。
同大では「今回の計算で一度も障害が発生しなかったことから『T2K筑波システム』の高い信頼性を検証することもできた」としている。

これはよくわかる。でも国から予算として支出をしている金額が全て「研究開発」に使われているかということにとは別の話である。
末端には、予算の十分の一しか渡らないと書かれたものまで見受けられるからである。(真偽の程は不明ではあるが)
ようは、廃止をして、開発者に直接資金を渡して領収書をもらうのが一番確実なわけで一括で予算付けをしてしまっては無意味なわけとも思えてしまう。
どのような使われ方をしているのかが国民にもわかる必要がある。なぜなら、税金だからである。
と同時に、先の話に戻るが、 なぜ世界の流れがスカラ型に移行し、ベクトル型を捨てたのかという理由を聞きたい。またその流れの中でベクトル型に拘った結果、世界から立ち遅れた基本的な説明さえもなされず、「金だけくれ~」じゃなぁ~。同時に「世界がスカラー型へと移行する中、ベクトル型を推進していることも極めて戦略的」として戦略立案をしていながら、今方向転換をしているにも限らず方向転換をした理由も述べず「予算だけはくれ」「立ち遅れるから」では少々「おかしい」話ではないだろうか。
それとも「一般の人間には関係が無い話だ」ということなのだろうか。
想像でしかないが、霞ヶ関が「スカラ型」の方向を示したにしてもやはり科学者の意見は聞いたとは思う。その後「複合型」である。方向性を見誤ったのであればそれはそれで、いたし方ないとしてもなぜに見誤ったのかの説明のひとつもないのはいただけない。
2009/07/19
理化学研究所(理研)と富士通は、2009年7月17日、文部科学省が推進する「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトに用いる次世代スーパーコンピュータに、富士通のスカラー型を単独で用い、当初の計画通り2012年に世界最高速のシステムを稼働させると発表した。2009年7月17日に開催された文部科学省の「次世代スーパーコンピュータ戦略委員会(第14回)」の議論を受けた発表である。
理研のプロジェクトは、「地球シミュレータ」を超え、より高速で汎用性の高い計算機システムを構築することである。1秒間に1京回(10PFLOPS、ペタフロップス)の理論演算性能を追求するため、「京速計算機」とも呼ばれている。2006年9月に理研が概念設計を開始、2007年3月には兵庫県神戸市のポートアイランドに立地することが決まり、同年9月には国内3社がハードウエアの概略設計を終えていた。このとき、NECと日立製作所がベクトル型構成、富士通がスカラー型構成を用いていた。つまり、ベクトル・スカラー複合型システムの構成を目指していた。
ところが、2009年5月、NECと日立製作所が同プロジェクト向けの製造工程から離脱してしまう。「本体製造に関連する投資が業績に大きな影響を与える規模となるものと見込」(NEC)んだことが理由だ。このため、1150億円を投じる同プロジェクトの開発スケジュール、さらには存続が危ぶまれていた。
今回、スカラー型単独のシステム構成に変更しながら、スケジュールは変更せず、2010年に設置を開始し、2010年末にはシステムの一部が稼働するとした。2012年の完成を目指す。
同プロジェクトでは、分散メモリー型計算機システムを採用する。プロセッサには、富士通が設計した「SPARC64 VIIIfx」を用いる。同プロセッサは45nmの製造技術を適用する。8個のコアを内蔵し、ピーク演算性は128GFLOPSである。従って、同プロジェクトでは約8万個のプロセッサを用いることになる。OSにはLinuxを採用した。
なんか、こんな記事を読むと本来は、ベクトル型とスカラー型や複合型なんてどうでもよくて数を繋いじゃえばある程度の性能のものが出来ちゃうんじゃないかとさえ思えてくる。
それと今回の長崎大学のゴードンベル賞の受賞の裏にある事実というか「スパコンの開発に疑問を持つ理由」というのが、8月17日に理研に書かれているからである。
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2009/090807/index.html
研究の概要
国立大学法人長崎大学と独立行政法人理化学研究所は、ブリストル大学、電気通信大学、慶應義塾大学と共同でGPU(ゲームの描画処理用のプロセッサとして発展し、コストパフォーマンスに優れたグラフィックス向けプロセッサ)の科学計算に向けた応用研究を進めています。
今回、本グループは256台のGPUを並列に動作させることで、天文学・流体力学への応用計算において、42テラフロップス(毎秒42兆回計算)の実効性能を達成しました。長崎大学の濱田剛テニュアトラック助教と、ブリストル大学の横田研究員、理化学研究所の似鳥敬吾基礎科学特別研究員らによる共同研究の成果です。この成果は、高性能計算の世界で最も権威のある賞の一つであるゴードンベル賞のファイナリスト(最終候補)に選ばれました。ゴードンベル賞の受賞者は、2009年11月14~20日に米国オレゴン州ポートランドで開かれる国際学会「Supercomputing 2009」において発表されます。
本研究においては、長崎大学に構築した大規模なGPUクラスタを利用し、その上に天文学向けにはツリー法、流体計算では高速多重極法と呼ばれる手法を実装しました。これらは実用的に用いられている高速な計算手法ですが、その反面複雑で並列化がしにくく、GPUによる並列化が難しかった手法です。しかし、新しく開発した「マルチウォーク法」により効率の良い並列化を可能とし、高い効率を得ることに成功しました。
本研究においては、長崎大学に構築した大規模なGPUクラスタを利用し、その上に天文学向けにはツリー法、流体計算では高速多重極法と呼ばれる手法を実装しました。これらは実用的に用いられている高速な計算手法ですが、その反面複雑で並列化がしにくく、GPUによる並列化が難しかった手法です。しかし、新しく開発した「マルチウォーク法」により効率の良い並列化を可能とし、高い効率を得ることに成功しました。
今後の展望
GPUの特徴は、安価でしかも性能あたりの消費電力が低いことです。これにより低消費電力で安価なスーパーコンピュータの構築が可能になります。また、将来のスーパーコンピュータにおいては、GPUのような加速装置(アクセラレータ)の利用、メニーコアプロセッサ(大量のコアを並列にしたプロセッサ)の利用が、性能面ならびに消費電力面から必須です。本研究などによりアクセラレータ・メニーコア技術の利用技術を確立し、ソフトウェア資産を蓄積するとともに、来るべきエクサフロップス(毎秒100京回計算)スーパーコンピュータに向けた次世代のプロセッサ開発に貢献していきます。
ようは市販品(秋葉原で売られているようなパーツ)でのスパコン開発が可能だということを知っていたともとれるのである。日本最速であるが、世界最速ではないということではあるが、予算の使い方自体を見直すことで可能とさえ思えてくる。
理研の記事では
42テラフロップス(毎秒42兆回計算)の実効性能を達成しました。長崎大学の濱田剛テニュアトラック助教と、ブリストル大学の横田研究員、理化学研究所の似鳥敬吾基礎科学特別研究員らによる共同研究の成果です。
共同研究というのだが、8月の理研のHPでは、42テラフロップス(毎秒42兆回計算)の実効性能を達成しましたと書かれているのではあるが、西日本新聞では、158テラフロップス(158兆回)の数字が見られることから、8月時点のものとは別ものに近く、先にも書いたのだが日本最速だということになる。
つまり、理研が開発をしているものをあっさり抜き去っているとも思えてしまう。まぁ~、「エクサフロップス(毎秒100京回計算)スーパーコンピュータに向けた次世代のプロセッサ開発に貢献していきたい」と書いてはあるが、「じゃぁ~、今はどこまで進んでいるのか」と聞いてみたいものである。
Jaguarくんのようなペイントをされたスパコンも、長崎大学の市販パーツで作られたスパコンも、事業仕分けで問題になった金額よりは格段に低い金額で開発をされたことだけは確かである。
知人が「正直に言って、価格性能を比べて考えたらベクトル型に利点は無いだろうな。、まぁ~、過去のソフトウェアの資産価値が大事だと考えたりバブリーな開発ができる(笑)お役所仕事で行うのなら今後も残るだろうが、今後となるとどうだろうね」と電話口で話したていたのが、なにやら昔、高性能だといってSonyのベータマックスのビデオデッキとダブった。


by himajin321q
まったく、くだらない話